宣長は伝統によって積み重ねられてきた
古典解釈を否定し
新たに古典に、原点に戻るという
伝統否定によって
新たな伝統を発見、想像するという
逆説的作業を行った
宣長の研究は『源氏物語』から始まり
「もののあはれ」こそ
根本の人間観だと主張した
「あはれ」は現在の語感では
憂いを表現していると解釈されるが
本来は喜怒哀楽全てを含めた
心の機微を表す詞である
そこから『古事記』の研究へと着手し
神を「尋常ならずすぐれたる徳のありて
可畏き物」と定義し、神に対しての
従来の解釈を一変させる偉業を成したが
そこから、『玉くしげ』に記されるように
天照大御神こそ万国の支配者であり
日本にのみ「まことの道」が伝わる
という飛躍した論理によって
日本中心論を展開する
しき嶋の
やまとごゝろを
人とはゞ
朝日にゝほふ
山ざくら花
本居宣長